韃靼の馬読んだり見たり
20100629
会社で読む日経新聞は、私は最終面から読むことが多いです。一般紙では最終面はテレビ番組表ですが、日経は文化系の投稿記事やコラム、ご存知「私の履歴書」、そして連載小説です。
今連載中の「韃靼の馬」(辻原登)なかなか面白く読んでいます。今日の回で、物語が始まってからずっと主人公の強烈なライバルだった人物との間に、衝撃の決着がつきました。彼はこれからどこへ行くのだろう…
江戸時代の対馬を舞台に、日朝外交、特に日朝通信使の活躍を描いた小説です。公式の外交活動に、交易の種まきに、そしてスパイ活動にとさまざまな顔を持つ主人公は、とても魅力的です。挿絵もなかなか良いと思います。
日経の連載小説は、硬派のものと、愛欲度満載のもの、極端ですね。後者は渡辺淳一氏の「失楽園」「愛の流刑地」など、これまでに何度も物議を醸してきました。最近では高樹のぶ子氏の「甘苦上海」とか。
私は愛欲小説は別に進んでは読みませんが、ここに挙げたものは、もうどうしようもない自己満足の塊としか、言いようがないです。まことに中途半端で、いっそエロならエロに徹すれば実用書としては役に立つかも知れないのに。(でもそういうのは、もっと別の新聞で連載した方がいいよね)
日経は、日本経済が苦境のときを選んで、こうした愛欲小説を連載しているという人もいますが、どうなんでしょう?しかしこんなもの、通勤列車では読めませんよ。
これまでの連載小説では、硬派の代表として「望郷の道」(北方謙三)が抜群に面白かった。まさに男の小説でした。九州の侠客が、訳あって追放になり台湾へ流れ、そこで菓子の製造販売を手がけ成功する…
もちろん私の仕事とも深くリンクする題材ですし、切った張ったの立ち回りもあれば、頭を使った商売人の才覚もある。わくわくする話でした。
本作も今日で連載234回を数え、どこまで続くのかわかりませんが、毎朝新聞を開くのを楽しみにさせてくれる存在になっています。