善意の傑作日々雑記
20120827
最近あまり楽しいニュースにお目にかからないのですが、これには多くの人がお腹を抱えて笑ったことでしょう。。
スペインの教会。100年前のキリストの壁画が歳月を経てぼろぼろに傷んできたのを見て、あるおばあさんが「何とかしなきゃ!」と立ち上がりました。彼女は教会の許可も得ることなく、塗料と筆を手に黙々と修復に取り組みました。作業が着々と進み、明らかになってきた修復の実態を見て、人々は凍りつきました…
凄いです、この画。強烈なパワーですな。
このおばあさんにどの程度の絵の心得があったのか、興味深いですね。ひょっとしてご自分では傑作だと思っているのに、いわれなき非難?を浴びて憤然としているのか、あるいは途中で「これはまずい!」と思いつつも、始めてしまったからにはどうしようもなく、ここまでやらかしちゃったのか。
善良なバカほど始末におえないものはない、と北杜夫も言ってますぞ。いや、失礼。
このニュースが世界中に広まって、最悪の修復と称される珍品をぜひ見たいと、教会には観光客が押し寄せているそうです。私はこれを見て、絶対あちこちでパロディのネタになる、と思いました。案の定、世界中のネットユーザーから投稿や関連グッズが発表されているとか。(下記のリンク先をご覧下さい)
絵画の修復が本来、どれだけ細心の注意を払って行われるものか。ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」が有名ですね。15世紀に描かれたこの壁画は、完成まもなく劣化が始まり、過去何度かのずさんな修復によって原型からどんどん遠ざかってしまったと言われます。それらを決算すべく行われた20世紀の修復は、何十年もかけ、それこそミリ単位以下の絵具の一片一片を貼り付けていくような、気の遠くなる作業でした。
私はかつてミラノの教会でダ・ヴィンチの本物を見たことがありますが、作業中で壁には足場が組まれ、修復の終わった箇所と手付かずの箇所がまだらに存在していました。あと何年たったら、ちゃんとした完成品を見られるのやらと思いましたが、意外と早くできてしまったようです。
しかしそれに比べたら今回の「修復」なんて、…いや、これだけ笑わせてくれたのなら、それはそれで「あり」なのかもしれませんね。んなわけないか。
関連リンク: 数々のパロディ作品群