カッコウの里日々雑記
20120522
5月になるとこの辺ではカッコウが鳴き始めます。それも、とんでもない時間に。
カッコウが鳴くのは普通は早朝からだと言いますが、家の近所のカッコウは以前からとっても早起きでした。まさに草木も眠る丑三つ時、午前3時頃になると「cockoo,cockoo,」とでかい声で鳴き始め、周囲の人はみんな何事かと目を覚ますのです。それがまた何十分も鳴き続けていまして。たぶん何羽もいたわけではなく、一羽の仕業と思うのですがね。
ここ2年くらい彼は(彼女かも?)姿をひそめていたのですが、一昨日の夜12時半頃に突然鳴き始め、これには驚きました。延々と鳴いているので、どこで鳴いているのか子供を連れて声を頼りに探しに行ったくらいです。例の公園の、この木とまでは突き止めました。もちろん真夜中ですから鳥の姿まではわかりませんが。
昨夜はさらに早く、夜11時に鳴き始めましたよ。こうなるともう「早起き」という範疇を超えてしまいますね。日が出るまで夜通し鳴き続けているわけではないのは幸いです。
何年か前、日銀松本支店の支店長が駒ヶ根で講演しました。地域の特色を生かしたまちづくりに話が及び、「都会人はカッコウのいる環境にとても憧れを感じている。カッコウの鳴く街を何か題材にしたらどうか」ということを言われました。
これは、目からうろこでした。カッコウは私たちにとってはあまりにも日常的で、その存在に大して特別なものは感じていないのです。しかし確かに爽やかな高原のイメージにはぴったりだし、なるほどその声にものどかな癒しを感じさせるものがあるといえるでしょう。深夜に街に響き渡る大声で鳴くのでなければ。(繰り返しますが、一羽だけ夜型のカッコウがいるという話です)
観光やIターン促進のネタにカッコウを使っているところがどこかあるでしょうか…?イメージ作りにカッコウが一役買ってくれるのであれば、面白いことだと思います。カッコウのゆるキャラとか、作るのもいいかもしれません。
クラシックの世界で、カッコウは三度音程(ミ・ド)で鳴くのか四度音程(ファ・ド)で鳴くのか、という話題があります。カッコウの鳴き声を模したフレーズは昔からいろいろな曲に出てきます。ベートーベンは「田園交響曲」の中で三度でカッコウを鳴かせ、誰もがご存知の「カッコーワルツ」でもカッコウは三度で鳴いています。カッコウは長い間ずっと「三度で鳴くもの」ということになっていました。
ところが作曲家マーラーは交響曲第1番「巨人」(去年伊那フィルで演奏しました)でカッコウを四度で鳴かせ、音楽史上のちょっとした事件と言われています。どこが事件なのかここでは書ききれませんが、近所の早起きカッコウは、私の耳には間違いなく四度で鳴いていると聞こえます。ベートーベンにお聞かせしたいです。