樽香 飲みもの、お酒
20120224
先日あるところで、ちょっと変わった焼酎を飲みました。芋焼酎を、シャルドネのワイン樽で貯蔵した、というもの。ほほう、芋に白ワインとは、いささかミスマッチのようにも思えますが?
グラスに注ぐと、パッとたちのぼるのは確かに白ワインの香り。芋焼酎独特の香りは、ほとんどありません。飲んでみた印象も、芋というよりワインを使ったリキュールという感じかな。度数33度と、ややアルコール強めの焼酎でしたが、ロックでおいしくいただきました。
お酒を木の樽で貯蔵すると、当然樽の香りがお酒に移り、独特の風味が生まれます。たとえばワインでも、フレンチオークの新樽を使ったものにはバニリンという成分が、ほの甘いバニラの香りを醸しますし、スモーキーな香りも樽から生まれます。新樽とそうでないものでは、明らかに香りも違ってくると言われています。
白ワインでバターの香りがすることもありますが、これも新樽に由来するそうです。ワインにバターの香り?と思われる方もいるでしょうが、我が家の家呑みでも時々お目にかかります。当然ながら、バターを使った料理との相性はバッチリですよ。
ほど良い樽香は心地よいものですが、樽香がプンプンするいかにもわざとらしいワインもあります。何ごともほどほどが肝心だということですね。樽香を避けるため(今では良質の樽はなかなか高価になっていることもあり)あえて木の樽を使わずにステンレスのタンクを使うことも多く、要は味の終着点をどこに持ってくるかでしょう。
もちろんワイン以外にも、樽の香りをつけるお酒はたくさんあります。CMなどでお馴染みのように、ウイスキーの熟成には樽が不可欠ですが、本来全然別のお酒である「シェリー酒」の樽で熟成させたウイスキーは、高級品として愛飲されています。
シェリーはスペインのお酒で、分類上はフォーティファイド(酒精強化)ワインと呼ばれ、普通のワインとは少し造り方が違います。葡萄を原料に樽を使った独特の「ソレラ・システム」という熟成過程を経てできあがるのですが、そこで使われた樽には豊潤な香りがつくことで、他のお酒の香り付けにも珍重されるのです。
「通」の方は樽の種類にまでこだわってテイスティングをされるのでしょうが、私はワインならともかくウイスキーでは、そこまでとても研究(ったって飲むだけですが)が及びません。ただただ美味しいと喜んで杯を重ねるばかりです。
シェリー樽で寝かせた焼酎をだいぶ前に飲んだことがありますが、これは実に芳しい上品な香りに満ちたお酒で、魅了されました。もう一度飲んでみたいと思うのですが、検索するとえらく高い値がついており、驚きました。これでは簡単にいただけません…
関連リンク: 本格焼酎 刻の一滴