ヒロインは豪傑読んだり見たり
20120220
そろそろ話も終盤へと移りつつあるNHK朝ドラ「カーネーション」。前作とはまったく対照的なこのドラマはなかなか面白く、最初の二週間ほどを除けば欠かさず録画して観ています。
ご存知、ファッションデザイナー・コシノ三姉妹の母をモデルにしており、主人公の小原糸子役は尾野真千子が演じています。この女優を私は本作まで知りませんでしたが、好演です。とてもいい味を出してますね。
糸子は小さい頃から父(小林薫)にそれは厳しく育てられます。この親父がまあ、娘に平手打ちは見舞うは卓袱台はひっくり返すは、「星一徹」みたいな頑固オヤジで。父親に物凄い反発を抱きながら家業の裁縫屋で仕事を始める糸子なのです。
その父が亡くなり、夫も戦死します。当時まだまだ珍しかった洋裁の仕事をしながら3人の娘たちを育ててゆくのですが、どんどん親父そっくりの頑固母になっていくのが面白い。台詞もモノローグも、まるで男です。おろおろしながら父をなだめていた母(麻生祐未)が、今では娘を叱る糸子を同じようになだめたりして。
家族の夕餉に、女主人が燗酒で毎日晩酌し、そのまま居間の畳に寝転んで眠ってしまうなんて映像、ドラマで見たことありますか?飲兵衛の父の血を受け継いだそうで、初めはお猪口で飲んでいたのが、この前はコップ酒になっていました。
脚本は非常にテンポが良く、いやむしろあっさりしすぎて拍子抜けするような時もあります。糸子の夫なんて、いつの間にか結婚しいつの間にかいなくなってしまったみたいな。「おひさま」の一週間分を1日で放映しているようなスピード感です。
三人の娘たちが大人になってから、ドラマの重点は彼女たちに置かれ、糸子は少し引っ込んだような印象があります。ちょっと淋しい気がしますが、その分、二女役の川崎亜沙美の存在がすごい。女子プロレスラー(!)と女優の二足のわらじの人だそうですが、もうコシノジュンコ氏に瓜二つ。物語の舞台、大阪岸和田の出身でもあるそうで、よくこんな人を見つけてきたと感心します。
朝ドラでは一週間通しのサブタイトルがつけられていますが、このドラマではそれがみな「花言葉」になっています。先週の「あなたを守りたい」はエンゼルランプ、今週の「鮮やかな態度」はルドベキアだそうです(どんな花だか聞いたことがありませんが)。
そういえば何でこのドラマのタイトルが「カーネーション」なのか、知りませんが、あるいは「母」と関係があるのかな。花言葉は「真実の愛」「情熱」だそうです。