教皇選挙読んだり見たり
20250429
ローマ教皇が亡くなったため、新しい教皇を指名するための選挙が5月7日から行われるとのことです。枢機卿と呼ばれる高位聖職者のうち、80歳未満の135人が世界中からバチカンのシスティーナ礼拝堂に集まり、外部との連絡を絶って缶詰めになって教皇選挙に臨みます。日本人の枢機卿もいるそうです。
全体の三分の二の票を得る人が出るまで、何度でも投票を繰り返します。これまで最長では教皇が決まるまで5日を要したとのこと。この教皇選挙のことをコンクラーベConclaveといい、文字通り「根競べ」となるのは皆さんご存じの通りです。
何というタイミングか、その名もズバリ「教皇選挙」という映画が公開されています。あまりにもお堅い題名ゆえに敬遠する人も多かったのではないかと思いますが、内容は一級の心理サスペンスだとなかなかの評判で、そのうち観てみたいと思っていた映画です。先日行ってきましたよ。
結論を言いますと、素晴らしい傑作です。あまりにも濃密で、退屈する暇もない。
主人公は枢機卿の一人で(ハリー・ポッターでヴォルデモート卿を演じた人)前教皇の死去により教皇選挙を仕切る役目となります。映画では枢機卿は108人、72票を得れば当選。有力な候補者の中には保守派、革新派、人種の違いなどさまざまな立場があり、彼らを推す人たちにもそれぞれ思惑がある。
もちろん一度の投票では終わらない。投開票を繰り返すうちに、陰謀で過去のスキャンダルを暴かれる人、その陰謀を仕掛けたことが発覚して信を失う人、当初はその気がないと言っていたのに途中から色気を隠さなくなる人などなど、選挙の裏はドロドロの様相を示してきます。
教皇選びが進まない中、衝撃的な事件が起こり事態は急変して、方向が決まっていきます。そして… という映画で、誰が選ばれるかというサスペンスと、急死してもはや知ることのできない前教皇の意思をめぐる謎。これは極めて上質なミステリー映画です。昨年度の米アカデミー賞で「脚色賞」しか獲れなかったのが信じがたい。
迫真のフィクション。あと一週間ほどで、実際にコンクラーベが行われるのですよ。今回は有力候補が不在だとされていますが、新教皇が決まるまでにどんな策謀が秘密裏に行われるのでしょうか?
そして…の後は、ぜひ映画館で。5/16まで塩尻東座で上映中です。
関連リンク: 「教皇選挙」公式サイト