タローマン読んだり見たり
20230310
去年の話。NHKで「TAROMAN(タローマン)」という不思議な(というより、変てこな)5分間ドラマを偶然目にしました。だいぶ昔の特撮番組のようで画像は古く、ウルトラマンのパロディーのような巨人、タローマンが妙に体をクネクネさせ、でたらめな行動を繰り広げながら怪獣退治をするのです。
タローマンとは岡本太郎の分身のようで、劇中では数々の彼の名言が引用され、中では各地を巡回開催中の「岡本太郎展」の㏚も。馬鹿馬鹿しいのに何だか面白くて、ついつい見入ってしまいました。その後、不定期に何度も再放送されています。
登場する怪獣たち(奇獣と称する)はいずれも岡本太郎の作品に登場するキャラクターです。タローマンは正義の味方的な存在ではありますが、正義よりも自分の信念を最優先します。時には怪獣など放ったらかしで遊んでみたり、毎回怪獣を倒すのがワンパターンだと気が付くと、自己模倣するくらいなら死んだほうがましだとばかりわざと怪獣にやられてみたり。最終話ではなんと、地球を爆発させてしまいます。
レトロな主題歌がまた良いのです。これも岡本太郎の言葉からとられているのでしょう。
爆発だ 爆発だ 爆発だ 芸術だ
べらぼうな夢はあるか でたらめをやってごらん
自分の中に毒を持て 自分の運命(さだめ)にたてをつけ
うまくあるな きれいであるな 心地よくあるな
マイナスに飛び込め タローマン
毎回ドラマが終わってからサカナクション山口一郎氏が登場し、子供の頃に観たタローマンの思い出を語ったり、当時のグッズ(フィギュアとか主題歌ソノシートとか、『タローマンかるた』とか)を持ち出して懐かしがったりします。この辺でどうやらすべてが嘘らしいと気が付きます。
そう、タローマンは昔の特撮ドラマではなく、昔を装って現代に作られた虚構の世界なのです。NHKが岡本太郎展とタイアップして作った企画モノなのですね。騙されていた人、多いんじゃないでしょうか。
この奇妙なドラマ、デタラメでありながらエネルギーにあふれていて痛快です。リンク先のサイトでは放送された動画を観ることができます。私と妻はタローマンのおかげで岡本太郎にすっかりハマり、名古屋で行われている岡本太郎展を観に行くことになりました。ご報告はまた後日。
関連リンク: TAROMAN (NHK)