あのジュリエットが…日々雑記
20230110
「ロミオとジュリエット」のオリビア・ハッセー。心奪われた人は世界中に数知れず。映画公開から55年たった今年になって、驚きのニュースが報じられました。
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(AFP時事)1968年の映画『ロミオとジュリエット』でのヌードシーンが児童虐待に当たるとして、俳優のオリビア・ハッセーさんとレナード・ホワイティングさんが先週、米製作会社パラマウント・ピクチャーズを訴えた。フランコ・ゼフィレッリ監督(2019年に死去)の同作品で悲劇の恋人を演じた当時、ハッセーさんは15歳、ホワイティングさんは16歳だった。
訴状によると、現在70代の2人は、裸の臀部や胸の一部が見える寝室でのシーンは性的搾取であり、児童ポルノ画像配布に当たると主張している。
ゼフィレッリ監督からは当初、実際に裸になることはなく肌色の下着を着用してもらうと説明されたが、後にヌードなしでは「映画が失敗する」と言って説得されたという。
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私はこの名作をリアルタイムで観ていませんが、中学生の頃かな、本屋さんで彼女の写真集を見て、世の中にこんな可愛らしく美しい人が存在するのか、と衝撃を受けました。映画を観たのは大学生になってから。噂のヌードシーンは(この場面の存在はもちろん写真集で知っていた)ほんの一瞬だけ豊かなバストが映っていますが、いやらしさなんて全然ありませんでしたよ。
三島由紀夫はこのシーンを「ここには快楽がひとかけらもないかわりに、情熱があった」と讃えています。この場面が映画の価値をいっそう高めていることに疑いはないと思います。監督の言う通り、ヌードなしでは映画は失敗していたかもしれません。
子どもだった主役2人が55年間どれほどの苦痛を持ち続けていたのかわかりませんが、オリビアは2018年のインタビューでこの場面を「映画にとって必要だった」と語っており、何で今さらこんなことになるのか不思議です。カリフォルニア州では、未成年に対する性虐待への時効が一時的に撤廃されていて、最終期限が2022年いっぱいだという事情があったんだそうな。
オリビアにとって(ホワイティングにとっても)この映画は世界的大スターへの出世作だったとともに、唯一無二の傑作となりました。2人はその後、これを上回る役を演じたことはありません。自分たちにとってそれほどの価値ある映画の存在を傷つけても、あえて訴訟に踏み切ったことは、正直どうなんでしょう。
現在の価値観で昔の映画を裁くことの是非もあるし、彼女らは一般人でなく俳優ですからね、普通の人の基準でこの件を判断していいのかどうか。リンク先の記事では、訴訟も無理からぬという文脈に読めますが、そういうものか。
しかし、ああジュリエットさん、この映画で貴女に魅せられた若き日の憧れの行く先を、どうしてくれるのよ。