カムカムエヴリバディ読んだり見たり
20220409
昨日完結した「カムカムエヴリバディ」。久し振りに朝ドラを半年間通して観て、緻密に作られたドラマを満喫しました。
実は番組開始のときは全然ノーチェックだったのですが、脚本が「ちりとてちん」の藤本有紀だと知ってあわてて観始めました。最初の2週間ほどを見逃したのは残念至極なり。
100年、三代にわたる家族の歩みを描いたドラマです。忙しい内容ですっ飛ばし感もなくはなかったですが、3人の主人公がリレーする異例の構成で「安子→るい→ひなた」の場面転換がスムースに流れ、さすがだなあと思いました。
3人の人生に共通して大きく関わった「ラジオの英語会話」と「あんこ」。どちらも一朝一夕には成果を出せない難物でしたが、継続は力なり、努力の嫌いだったひなたがこれほど英語ペラペラになるどころか、英語番組の講師にまでなるとは誰が思ったでしょうか。受験英語しかやってない私も、今から毎日ラジオで勉強すれば10年くらいで外国人とも普通にお話しできますかね。
主役3人は素晴らしく、そして彼らを支える俳優たちも(まあ)良かった。るい(深津絵里)が母親の告白をラジオで聴く、5分間台詞なし表情アップの演技には日本中の視聴者が身じろぎできずに引き込まれたのでは。
親子や孫を同じ人が演じるのは映画「愛と哀しみのボレロ」みたいでいささか混乱しましたが、登場人物の多い連続ドラマの場合、結果的にはむしろ分かりやすかったともいえましょう。そしてオダギリジョーのこういう役柄は、とても新鮮でした。
藤本有紀は伏線の名人ですが、本作ではちょっと期待しすぎだったかな。最終回でいろいろ大忙しでまとめたのは、お遊びの範疇かと思いました。後半で英語の台詞が増え(日本語字幕)画面に集中せざるを得なかったのは、時計代わりの朝ドラとしては結構な冒険だったと思います(視聴率ってどうだったんだろう)。もともとこの人のドラマは「ながら観」を許さないところがあります。観るのに集中を要しますが、それに見合うものは得られるはず。
NHK、藤本氏にもっともっと活躍の場をあげてほしいです。半年間、しっかり楽しめました。