「おいしいことなど徒然と」

社長ブログ

偽装アサリうな丼の未来

20220219



熊本産として売られていたアサリが実は中国など外国産だったというニュース。しかもその規模が桁外れ。

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(時事.com)農林水産省の調査によると、昨年10~12月に全国のスーパーなどで販売されたアサリの8割が熊本産として売られたと推定。同省は、このうちのほとんどで「外国産アサリが混入している可能性が高い」と判定した。調査期間3カ月の推計販売量は2485トンと、2020年の熊本県の漁獲量21トンの実に約120倍に上った。
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本来の年間漁獲量の120倍が3か月の間に熊本産として売られたのですから、数字を見れば「外国産アサリに熊本産がわずかに混入している」と言わざるを得ないレベルで、お話になりません。


何をもって「産地」というのか。食品表示法では、証明できる飼育期間が最も長い場所を産地とするとあります。中国からアサリを運んできて熊本の海に撒き、相応の日数をかけ飼育して収穫すれば熊本産を名乗れます(別に不都合はないと思います)。残念ながらそこを誤魔化す業者が後を絶たず、いったん撒いたアサリをすぐ回収したり、ひどいところは輸入したものにそのまま国内生産のラベルを貼って販売していたケースもあると報道されています。


何でこんなことをするのか答えは簡単で、熊本産(国内産)と表示すれば中国産よりはるかに高く売れるから。3倍以上の価格差があるといいますから、悪徳業者にとってはぼろ儲けです。しかし実際の品質、食味にそこまでの差があったのかは、購入して食べた人が値段に納得していたのなら、何とも言えませんね。


私腹を肥やし貴重な産地ブランドを毀損した業者は、非難され厳しい制裁を受けて当然です。熊本の水産業は信用回復に向けて大変な重荷を背負うことになりました。アサリならぬ熊本産ハマグリが事件発覚後まったく売れずに返品された話を聞きましたが、善良な業者さんには本当にお気の毒なことだと思うものの、こういう反応が出るのもまた、無理からぬことです。ブランドとはそうしたもの。


産地偽装はアサリだけでなくワカメやウナギなどでもたびたび世間を騒がせていますが、この背景が日本人の国産品信仰にあることは、消費者の方々もお考えになった方がいいと思います。さまざまな国産品は生産環境や労働環境によって輸入品に価格で太刀打ちできない状況にあります。そんな品を安く購入したいというのは、無理になっているのです。その結果が水産業の後継者不足を招いています。


輸入品(特に中国産)の品質に安心できない人は今でも相当いらっしゃるでしょう。学校給食などでは基本的に国産品の使用が求められています。ただ、中国にもいろいろな業者がいて、ほとんどの業者は日本と全く変わらないレベルで厳しい品質基準を設けており、きちんとしたルートで入ってくるものは国内品、あるいは欧米産のものと何ら遜色ない安全性だということは知っておいてよいと思います。


品質ではなくイメージによって消費動向や価格が大きく左右されている現状は、健全でない。国内生産品を買い支えることも大事だし、輸入品を必要以上に買いたたくのもおかしなことです。このことで「アサリ離れ」が起こったりしないことを願います。

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