「おいしいことなど徒然と」

社長ブログ

悪魔の選択読んだり見たり

20220113



今朝の日経「春秋」欄に、懐かしい小説が取り上げられております。フレデリック・フォーサイス著「悪魔の選択」(1979)。大学生の頃、もう面白くて面白くて、時間を忘れて読みふけった上下2冊の文庫本でした。


東西冷戦のさなか、ソ連の支配下にあり圧政を受けていたというウクライナ。在英の愛国者が、ひょんなきっかけからチャンスをつかみ、ソ連に痛打を浴びせウクライナ独立の足掛かりにしようとします。奇しくも同じ頃ソ連では、政治局内の権力闘争が高じてヨーロッパへの侵攻征服の陰謀が画策され、米英ソを巻き込み世界を揺るがす大事件に発展する…


構成にも細部にも練りに練られた描写が施され、とりわけ終盤の怒涛のようなどんでん返しの連続には驚嘆したものでした。時々読み返し、子どもたちにも勧めたりしていますが、冷戦が過去のものとなった今では彼らがどれだけのリアリティを感じられるのかわかりません。


物語に登場する100万トン級のスーパータンカー「フレイア号」は、石川島播磨の知多工場で製造される設定になっておりました。検索してみると、この造船所は73年に開設され多くのタンカーを建造したが、2018年にその役割を終えて閉鎖されたとのこと。


ウクライナはソ連崩壊によって91年独立を果たしますが、ソ連がロシアになっても両国の軋轢は絶えることなく続いております。クリミア半島での騒乱によって私たちはこの問題を身近に知ることになり、昨年末には10万人規模のロシア軍が国境に集結していることが報道されています。軍事的な激突がごく近いうちに始まるのではとも言われます。


本書の中で「ウクライナは死せず(シチェ・ニエ・ウメルラー・ウクライーナ)」という言葉が数回登場し印象に残ります。祖国を愛するウクライナ人なら誰もが心に刻んでいると書かれています。大国の隣に位置するがゆえに辛酸をなめ、自らの誇りを何度となく傷つけられてきた彼らの運命に注目しなくてはと思います。


あの時代を反映したエンターテインメントの傑作です。ただし、タイトルの「悪魔の選択」はちょいと肩透かし。

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