「おいしいことなど徒然と」

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金属の奏でる音 (2)音楽ばなし

20200907

金属の奏でる不思議な音。2枚目。

★武満 徹:四季、ムナーリ・バイ・ムナーリ、他
  演奏 山口恭範、ミカエル・ランタ、佐藤英彦、
     ツトム・ヤマシタ、他
 (同内容のCDがいろいろなデザインで出ています)

このCDを語るには、50年前の大阪万博までさかのぼらなくてはなりません。小学生の私は父に連れられてとても楽しい体験(物見遊山)をしてきました。


会場の中に、日本鉄鋼連盟(新日鉄とか日本鋼管とか神戸製綱とか)による「鉄鋼館」というものがありました。このパビリオンのテーマは「鉄の歌」。施設の中心は音楽堂で、1008個のスピーカーが天井、壁、床下に配置され、フランス人彫刻家バシェ兄弟が作った「音響彫刻」が展示されました。金属製のオブジェで、叩いたり擦ったりして不思議な音を出すものです。


ここで当時の世界最先端をゆく前衛作曲家たち、シュトックハウゼン、クセナキス、武満徹らの現代音楽が演奏されたのです。普通の小学生だった私にはもちろん興味関心の外で、鉄鋼館は訪れず終いでした。ああもったいない、今なら垂涎の展示でしたのに。


前置きが長くなりましたが、CDの「四季」は鉄鋼館と音響彫刻のために作曲されました。初演メンバーの山口恭範氏(当時は山口保宣の名で活動)は日本で初めて打楽器のソロリサイタルを開いた演奏家であり、私が学生時代、所属オーケストラで指導を頂いた方です。氏のおかげで私は現代音楽への興味の扉を開くことができました。


打楽器は叩けば音が出て、次の瞬間から音は減衰していきます。楽器の性質上「長く持続する音」を出すことが難しい楽器群です。それをさまざまな手段でクリアし、多彩な音を引き出しています。


この記事を書くために検索していたら、今年の5月に演奏された「四季」の動画を発見しました。山口氏も出演しています(14分過ぎに逆立ちしている人)。解説にもありますが、沈黙・静寂のもたらす宇宙のような広々した空間を感じることができます。


ここには楽譜が置かれていませんが、たぶん一つひとつの音を記した譜面ではなく、さまざまなヒントが書かれ、演奏者がそこからインスピレーションを得て互いに触発しながら即興的な(リハーサルを重ねて練り上げた)パフォーマンスを繰り広げているのでしょう。ぜひ一度ご覧ください。退屈と感じる人も多かろうと思いますが、まずは気楽に聞き流して不思議な響きに気持ちを委ねてみては、いかがですか。

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