春雨にマスク日々雑記
20200405
「一世帯に2枚ずつ布マスク」。配布する手間と費用、どうなってるのでしょうか。最近の我らが首相の思いつきは、まったく私たちの想像を絶するものです。
これまでマスクを嫌がっていた欧米人も、お尻に火がついてからマスクの意義に気付いたらしく、需要が爆発し世界的なマスク争奪戦になっています。
特になりふり構わずマスクをかき集めているのがアメリカで、他国が契約した中国産マスクを第三国の空港で奪いとって「まるで海賊」と言われたりしているのだとか。本当だとしたら、まさしく海賊も同然ですな。
新型コロナがまだ中国の国内問題だった2月上旬、日本のあちこちの自治体が中国への支援物資としてマスクを送り、北九州市でも友好都市の大連市へマスク260枚や防護服70セットを送りました。日本で感染拡大が問題になってきたとき、大連市からお返しに20万枚のマスクが送られてきて、北九州では感謝もちきりだそうです。
送られてきたマスクの箱に書かれた文面が話題を呼んでいます。「北九州加油!日本加油!(北九州頑張れ!日本頑張れ!)」という言葉とともに、「春雨や身をすり寄せて一つ傘」という俳句が添えられていました。これは夏目漱石によるものですがそれほど有名な句ではなく、かなり俳句に通じている人でなければ知らないようなものだそうです。
この句は漱石の友人だった正岡子規の「人に貸して我に傘なし春の雨」に対する返句だとして、twitterで驚嘆の声が多く上がりました。実際には漱石がこの句を詠むかなり以前に子規は他界しており、二つの俳句に直接的なつながりがあるとは言えないらしい、とのこと。
中国のマスク返礼をそれほど素直な恩義の心と思っていいのか、ひねくれた私はいささか複雑な気持ちではあります。それでも支援の品にこのような文面が書かれているとは、高い素養を感じますし、粋ですね。
関連リンク: 中国から届いた「お返し」はマスク20万枚。