無観客…日々雑記
20200308
今日から始まった大相撲春場所。コロナ感染対策によって観客を入れず、ガラガラの会場で行われています。横綱戦までもが、衛星放送で見る幕下の取組と同じような雰囲気で行われているのがすごいです。
場内の歓声が聞こえない相撲中継は、感じが出ず盛り上がらないこと甚だしいですが、一方でぶつかる音や力士の声などを聞けて興味深いです。取組中に行司がずっと「のこった、のこった」と甲高い掛け声をかけていますが、決着がついたときに「勝負あり」と言っているんですね。何十年も相撲を見てきましたが、初めて知りました。
プロ野球のオープン戦も無観客。高校野球春のセンバツも、そもそも実施されるかどうかまだ決まっていませんが、行われるとしても無観客になるようです。
東京マラソンは、例年100万人規模の観客を集めるそうですが(主催者発表、ちょっと盛りすぎでは?)。今年は沿道での応援や観戦を自粛してほしいと求められました。蓋を開ければ72000人ほどが路上に出たんだとか。そりゃしかたない、野次馬の出足に戸は立てられません。マラソン観戦で感染なんて洒落にもなりませんが、そんな人もいなかったでしょう。
本格オペラが無観客で上演されたと話題になっています。滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールのプロデュースする、ワーグナーの「神々の黄昏」は観客を入れずに公演が行われ、それを無料のライブストリーミングで配信しました。
このホールのオペラ公演は、国内最高のキャスト・スタッフを集めた極めて質の高いものだとして、かねてから定評があります。一つのオペラを上演するには少なくとも数か月、ときには一年以上もの準備や稽古の期間を要し、舞台も含めて莫大な費用をかけるものです。
しかも「神々の黄昏」は上演時間も長く(今回は13時開演、終演予定は19時!)登場人物も多く編成も巨大な超大作オペラです。心血注いできた公演をコロナごときで中止できるか。本当に迷ったと思いますが、入場料収入が絶たれるにもかかわらず公演を無料配信したのは、まさに身を削る決断だったでしょう。ファンたちの熱烈な喝采を浴びました。後日、高画質のDVDも発売する予定だそうです。
ライブをネットで視聴した人は、二日間でのべ36万人に達したのだとか(あくまでも「のべ人数」、実質的には1万人強といわれる)。チケット払い戻し額は6000万円。いまびわ湖ホールには個人の寄付が相次いでいるそうです。コロナのために多くの人が素晴らしい公演を楽しめたことは、災いの中の一すじの救いだったのかもしれませんね。
(3/12付記)このオペラ無観客上演について、江川紹子さんが詳しいレポートを寄せています。ぜひご一読を。